アフガニスタンでは不安定な経済状況により、教育・保健に充てられる予算は決して多くはありません。
そのため、教育環境の整備が進まず、子ども達の就学率は、男の子が62%、女の子が46% と低く、
その結果、15歳以上の識字率は男性が52%、女性が24% と低い状態です。

低い就学率の背景には、子ども達が学校に通いにくい環境があります。
例えば、教室やトイレが破損していること、汚いことが主な理由です。

加えて、特に女子生徒は男子と共同で使用することへの拒否感があります。
更には、男子と同じ学校に通うことを家族が好まないことや、
そもそも女子には教育は不要だという価値観が一部の大人の間にあります。
この様な状況を改善するために、ＪＥＮは教育環境を整えています。

ＪＥＮはパルワン県で2002年から学校の校舎やトイレ、
手洗い場などの衛生施設の再建や修復を開始しました。

これまでに、県全体464校のうち127校と県外の3校に対して
学校の再建・修復、衛生施設の修復を行いました。

さらに、256校の生徒約23万人と教師7千人に
衛生の大切さを知ってもらうための衛生教育を行いました。

子ども達には「伝えるチカラ」があります。
彼ら彼女らは、自分自身の行動を変えるだけでなく、
ごく自然に生活の中で家族やコミュニティの人びとに知識を広めてくれます。

大人たちに衛生知識に関するヒアリングを行った時、
「今では自分の身の回りの衛生環境にとても気を配っている」といった声を聞きました。
ＪＥＮの取り組みがコミュニティの人びとへ少しずつ変化を起こしていたのです。

近い将来、「子ども達が学校に通うことで、自分たちの生活も変化する」と親が気づく時、
教育の価値を再認識する大人たちが増え、その結果、
学校に通う子ども達が増えていくことを願っています。

教育は、これからのアフガニスタンの復興と発展に欠かせません。
経済の復興に加えて、教育こそが数十年にわたってこの国に欠けてしまった
「社会の安定」をもたらす一番の希望となるのですから。