2003年にスタートしたカルチャーナイトは、みんなで創る「まちの文化祭」です。夏の一夜に札幌市内の公共施設、文化施設、企業施設を特別に夜間開放して、子どもと大人が一緒に夜のまち歩きを楽しみながら地域文化を学ぶイベントです。 カルチャーナイトの価値は、地域の魅力や価値を体感し、再発見することにあります。また、北海道の未来を担う子どもたちが地域の文化に触れ、子どもたちの健全な育成と地域文化の伝承につなげることを目的としています。 多くの方に活動が支持され、これまで51万人以上の方が参加しています。
札幌市内の公共・文化施設、企業施設を年に一夜だけ特別に開放するカルチャーナイト。いつもとは違う視点で身近な地域の歴史や文化、産業、それらを支える人々など、まちの魅力や価値を体感し再発見できる活動です。
自分の住むまちに愛着を持つことは、地域の中で生きていくうえで基盤となる自尊感情です。しかし身近なまちの魅力や価値を客観的に知る機会は乏しいものです。
カルチャーナイトは、普段は入れない夜に施設見学をしたり、その日だけの文化プログラムを体験したり、現場で働く人たちの話を聞くなど、市民の皆さんへ「身近な地域文化の非日常体験」を届けます。
カルチャーナイトの始まりは、創業者の佐々木亮子が出張先のコペンハーゲンで現地のカルチャーナイトに遭遇したことです。真っ暗な夜道をたくさんの親子連れが歩き回っている光景を目撃して、「いつかこれを北海道でもやりたい!」という想いが生まれました。
そしてコペンハーゲンの経験から6年が経過した2003年、温めていた想いが実現し、ついに夏の一夜に札幌版のカルチャーナイトが誕生しました。初年度は、赤れんがフェスタ内のイベントの一つとしてカルチャーナイトを開催し、札幌市内中心部にある20ヶ所の施設を夜間開放しました。
札幌にカルチャーナイトが誕生して22年。
現在は札幌市内全域に会場が広がり、なんと一夜で220を超えるプログラムを実施しています。施設の夜間開放だけでなく音楽などの市民団体の参加も加わり、カルチャーナイトは産学官民連携による「まちの文化祭」として成長し、一夜で約2万5千人の人たちが参加しています。
例えば会場の⼀つである札幌市時計台や北海道知事公館は観光スポットになっていますが、地元の人にとっては施設を知っていても⼊る機会がない場合も多いものです。歴史ある建築物は実際に⼊ってみることで価値や魅力を体感できるものですから、カルチャーナイトが良い動機付けになっています。
また、銀行職員が大量のお札を数え方をレクチャーするプログラムや、大きな建設車両に特別に試乗するプログラムなどもあります。プロの技術を見せてもらった子どもたちは、表情を輝かせながら「すごーい︕」と声を上げて喜ぶし、施設職員の皆さんにとっても刺激的です。こういった直接的な交流は、互いにとって明日への活力につながっているはずです。
イベントとして始まったカルチャーナイトは、社地域密着型のムーブメントとして定着しました。
NPO法人が事務局を担い、プログラムを実施する施設や団体、来場者する市民の皆さん、そしてボランティアや寄付で応援してくださる方々が互いに協力し合いながら運営しています。
そのように多くの皆さんの「協力」によって、イベントの「魅力」を高めていくという循環が22年間続いています。
カルチャーナイトの夏の一夜に向けて、参加団体の職員自らが「今年はどんなプログラムで楽しんでもらおうか」と工夫を凝らしながら準備します。そのプログラムの種一つ一つが、地域の成り立ちや文化を表現していると言えます。
まだ社会が何かを知らない世代にとってカルチャーナイトは、「自分たちの生活する地域がどのように成り立っているのか」を学べる機会です。
体験を通じて「社会」と「地域」と「自分」というつながりを実感することで、地域がぐっと身近になりもっと好きになります。そして一人ひとりが地域に根ざす存在として誇りをもてるようになり、まちの発展につながる―。その循環を創っていきたいと願っています。