路上生活を経験した人によるダンスグループ、「新人Hソケリッサ!」の活動など、人間の多様性を尊重したダンス芸術事業を行っています。
ダンス芸術によって、わたしたちに何ができるのか。 路上生活の経験者によって構成されたダンス表現グループ、「新人Hソケリッサ!」の活動を通し、 「生きるからだ」とは何かの探求を続けています。
■「新人Hソケリッサ!」の活動
「日々生きることに目を向けざるえない身体=路上生活を経験したことのある身体」が、その記憶や歴史を踊りとして表現するとき、何が生まれるのだろうか。そして社会は、そこに何を見るのだろうか。
そんな想いから結成された、路上生活者または経験者をメンバーとするダンスグループ、「新人Hソケリッサ!」。
(ソケリッサ!公式HP⇒ http://sokerissa.net/)
2005年頃より活動を開始し、これまでに約40人の「おじさん」達がソケリッサのメンバーとして活動してきました。
これまでの活動としては、2015年、シンガーソングライター・寺尾紗穂さんに帯同しての全国14カ所ツアーをはじめ、山形や金沢など各地の芸術祭に参加、2016年にはブラジル・リオ五輪公式イベント「With One Voice」に招待され、現地でのワークショップを行うなど、活動の幅を広げてきました。
2017年〜2018年にかけて、活動10周年を記念した「東京近郊路上ツアー”日々荒野”」を実施。都内近郊含む屋内外15箇所で無事にパフォーマンスを披露しました。
2020年3月より、ソケリッサ!のドキュメンタリー映画である『tHe dancing Homeless ダンシングホームレス』が公開されています。
■「生きるからだ」の探求
アオキカク代表でダンサー兼振付家の、アオキ裕キです。
私は東京に住んで20年以上経ちます。
良くも悪くも、私の身体は安全で便利な暮らしに慣れ、生きるということに向き合うことなく日々を送ることができるようになりました。
そんな現代に生きる私はずっと、原始の頃の体に興味を持ち続けています。
日が昇って鳥の声が聴こえて目が覚める。
お腹が空いたら「何を食べようか」と探し出す。
夜になると静けさに怖くなる。
現代社会では過ごせない、体で感じる暮らしです。
そんな体の模索を続けていた時、「日々生きることに向き合わざるを得ない身体=路上生活の身体」と出会いました。
そしてその踊りを見た時、私は強い衝撃と躍動を得ました。原始の体に出会ったような感覚でした。
ソケリッサの活動を始めて10年が経ちました。
今、現代社会の様々な環境に生きる人々がソケリッサの「生きるからだ」に出会った時、
それをどのように受容するのか、とても興味を持っています。
■ソケリッサの活動が持つ、幅広い可能性
パフォーマンスを終えて拍手の中頭を下げる時間、メンバーの表情は力強く、輝いています。生きることに向き合う、路上生活の記憶をもった身体。その身体にしかできない踊りを人前でみせること。それに対して拍手をもらう時というのは、今までの人生が生かされる瞬間でもあります。
10年間活動を続けてきた今、ソケリッサの活動は純粋な「踊り」にとどまらず、
参加メンバーの自己肯定を高め、社会的弱者といわれる人たちのモチベーション獲得のきっかけとなる可能性もあるのではないか、そう感じています。