あなたの寄付でだれもが自由な表現活動を行える豊かな社会を実現したい
これからも本(HON)を作ろうとしている人々に、国内外の事例を紹介し、デジタルパブリッシングを含めた技術を提供し、意見を交換し、仮説を立て、新たな出版へ踏み出す力を与えることをミッションとする。
本(HON)のつくり手をエンパワーする
一般的にNPO法人は、たとえば「貧困」や「差別」のような具体的な社会課題の解決を目的とする(課題解決型)ところも多いですが、HON.jpはどちらかというと、社会において新しい価値を創造していくことが目的です(価値創造型)。
HONꓸjpのビジョンで「本(HON)」と括弧書きしているのは、紙、電子、ウェブといった媒体の種類は問わないことを意図しています(以下では省略します)。本とは、文書図画を用いて知識や情動を時間や空間を超えて伝えられる媒体のことです。そしてその本の定義は、テクノロジーの進化や時代の変化とともに拡張されつつあります。
そもそも本という漢字は、木の根元に横線の印。そこから「基礎」や「根源」という意味になり、さらに「手本や模範となるもの」や「書写(手で書き写す)のもとになるもの」を指すようになりました。だから本が大事というより、人々の心や生活をより豊かなものにする大事な存在が、本と呼ばれているということなのでしょう。
本に関わるプレイヤーをおおまかに分類すると、作家やライターといったコンテンツの生産者から、編集者や校正者といったコンテンツの加工や制作に関わる方々、取次や書店といったコンテンツの流通に関わる方々、そして、読者ということになるでしょう。
テクノロジーが進化したことにより、こういったさまざまな役割が複雑に絡み合い、境界が曖昧になったり、従来とは求められる役割が変わってきたりしています。たとえば、作家が作品を生み出すだけでなく、ツイッターで宣伝して流通を促進するようなことが、否でも求められたりしています。
テクノロジーの進化で、誰でも出版できる時代になりました。「本のつくり手」と言ったとき、それが指す領域は「全人類」といっても過言ではありません。あまりに広すぎて漠然としているため、今後は「新時代の書き手」にフォーカスすることにしました。
前半の「新時代」は、テクノロジーの進化によって急激に変化している社会へ対応する必要があることを意味します。後半の「書き手」は、文章を書く人です。虚(フィクション)か実(ノンフィクション)かは問いませんし、原作、脚本、台本なども含まれます。
新時代には、ツイッター、ブログ、ノート、なろう、カクヨム、セルフパブリッシングなど、誰でも使えるツールがいろいろあります。そこにはすでに膨大な、読み切れないほどの文章があふれています。問題は、そうやってあふれている文章が、どんどん軽く、薄く、短く、小さくなっていることです。その中に、後の世に残るような文章はどれだけあるでしょうか?
これまでの「書き手」は、なりたい人などいくらでもいるから「使い捨てでいい」などと思われてたような節があります。でも、これからの時代は、それではダメではないでしょうか? このままでは、どんどん文章が軽薄短小化してしまう。それでいいんでしょうか? 新時代の書き手を支援することで「本」を生み出し、人々の心や生活をより豊かなものにしたい。これがHONꓸjpの掲げるビジョンです。
empowerとは「人に力を与える」という意味の他動詞です。supportと意味的には近いですが、対象が自力でやれるような能力をつけるための支援、というニュアンスがあります。例えば、ロケットが大気圏を離脱するまでの推力を与える補助ロケットのような役割を想定しています。
エンパワメントされる対象、目的語は、本のつくり手です。中でも今後は「新時代の書き手」にフォーカスします。それに対し、エンパワメントする側、主語は、知識や技術や資本を持っている個人や法人です。