ウミガメを絶滅させないため、インドネシアや小笠原諸島で保全活動をしています。
豊かな海と人々の暮らしや文化が共存できる未来の実現
世界に7種類いるウミガメのうち6種類が絶滅危惧種であるのをご存知でしょうか?
私たちは、“関わった地域のウミガメを絶滅させない!”を目標に、1999年から主にインドネシア、小笠原諸島、関東でウミガメ保全活動をしてきました。
2023年現在、活動地では産卵数の増加に成功する地域も出始め、また長期モニタリングの記録や保全の知見が蓄積され、団体の状況は変わってきました。
また、ウミガメは海洋環境や海岸環境に大きな影響を与える中枢種的な種の一つとして存在する一方、徐々に個体数回復してきているウミガメと海の利用者との軋轢問題も出てきています。
ウミガメの減少要因は必ず人間活動が関連しています。ウミガメを利用する人やその海域を利用する人々の暮らしや文化を視野に入れた保全が必要です。
ウミガメの問題を理解し解決していくためには、モニタリング調査による実態把握と、把握のために必要な未解明生態の解明が必要です。
ELNAはウミガメをかつての個体数規模に回復させ、長期的に生息環境が維持されるような体制づくりに地域住民と共に取り組みつつ、ウミガメを取り巻く海洋環境が作りだしている豊かな海を守るため対象生物の生態解明にも取り組んでいます。
・持続的かつ生態に即した保全システムの実施と確立
・保有データの解析と発信(生態解明・保全に貢献)
・次世代を担う人材の育成(持続的な活動をするため)
・広い視野をもって観察し、発想と探究をする(生態の理解・解明、課題解決)
私たちは、生物に直接手を加えるのではなく生物に影響を与えている人為的要因を取り除くことが海洋生物保全では重要と考えています 。現場で見て得た“気づき”と“探究心”をもって調査研究に取り組み、保全のための生態解明や課題解決へ繋げていきます。
・成果から考える(科学ベースの保全)
生態を理解すること、脅威の状況を理解すること。保全のために必要な科学的なデータを元に活動を展開します。
・フィールドで考える(現場第一)
フィールドにおいて自分たちの目で見、耳で聞き、そして感じる。単純なことではありますが、私たちが最も大切にしている部分です。
・地域社会の一員として考える(地域と歩む)
保全が必要な場所には、その地域で暮らす人々の生活や文化もあります。地域社会を無視して長期的な保全は実現できません。地元目線で考え、地元の人達と一緒に“海と人とが共存する地域社会”の構築を目指します。
・アウトプットに努める(情報発信)
成果や研究結果を研究者や関係機関に共有することで、ウミガメ類の調査・保全の発展に寄与します。また、環境教育プログラムやインターネットによる幅広い層への発信・情報提供を行います。
ウミガメが自然界に与える影響として、以下のことが言われています。
・ウミガメが産卵した卵により、海から陸へと栄養が供給される。
・ウミガメが海草や海藻を食べることによって、藻場が適度に間引きされ、健全な状態を保つことができる。
・ウミガメがクラゲを食べることで、クラゲの増殖を抑えることができる。
例えば、クラゲの捕食者であるウミガメが減少すると・・・
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人間が魚を捕り過ぎていることにより増殖したクラゲがさらに増える
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クラゲが魚の卵や幼生を食べる
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魚の資源量が減る・・・ということに繋がります。
このように、サンゴ礁や藻場など海洋生態系の中でも要となる重要な生態系に影響があり、海だけでなく陸にも恩恵を与えています。よって、ウミガメの減少は、人間社会だけではなく海の生態系全体に大きな影響を及ぼすのです。
豊かな海を次世代へと継承するために、私たちはこれからも活動を続けていきます。