あなたの寄付で自由な学びの学校を田舎にも。必要な子どもが誰でも来れるよう、社会で支えるモデルを作りたい。
山村の廃校の木造校舎を拠点にした,6~19歳対象のフリースクール。カリキュラムなし、テスト宿題なし、好きなことをして過ごすのが一番の学びという理念のもと、参加者全員が等しい一票を持つスクールミーティングで運営しています。 未来を担う子供たちの学びの場、育ちの場は、本来は社会全体が支え、経済状況によらずだれでも利用できるものでありたい、という考えのもと、ある設備を利用し、みんなで協力しながら、参加費を非常に低く抑えて運営しています。
自由な教育のフリースクールを、月〇万円×〇人でも公的助成でもない形で運営する。今これを必要とする子どもたちと、変化する社会を柔軟に生きるための教育多様性を、広くみんなで支えるシステムを作る。
2018年、
紀伊半島の山あいにある元小学校の木造校舎で、小さなフリースクールがスタートしました。
『デモクラティックスクールくまのび』という名前の、ちょっと変わった学校です。
地元の人たちは、フリースクールなんてよく知りません。
子どもは普通の学校に行くもの、行かないのは問題のある子ども、
まだまだそんなふうに思う人も少なくない中、スタート後しばらくは数名の利用でした。
やがて愛知、静岡、東京などから、子どものいる家族が引っ越してきました。
公立の小学校でも全校で40人を切るような過疎地ですが、
2022年現在は全部で11名が登録しています。
なにか問題のある子どもたちだったでしょうか?
いいえ、みんな元気でエネルギーに満ち溢れていました。
彼らは、ただ自分でありたかったのです。
そして、親たちは、その子のあり方に寄り添うことにしたのです。
大きな靴屋さんでも必ず、
自分に合うサイズの靴が見つからない人がいます。
そのとき、「それは問題だ」「解決してここにある靴のどれかをはくべきだ」
という人はいないでしょう。靴屋さんも別に悪くありません。
合う靴を探せばいいだけです。
もしかして、靴をはくことが合わないのかもしれません。
そしたら、靴をはく場所では居心地が悪くてしかたないでしょう。
「サンダルでいいよ」
「裸足でもいいよ」
『くまのび』は、そんなところだったので、
靴をはくのが好きじゃない子どもたちが毎日をすごす、かけがえのない場所になっていきました。
【デモクラティックスクール】はフリースクールのひとつのスタイルです。
子どもたちが自分の興味にしたがって一日中すごすことを大事にします。
【本人のすることすべてが学び】と考え、スクール側によるカリキュラムを一切持たないのです。
やりたいゲームで夢中になって盛り上がったり、
夏は毎日のように川にでかけたり、みんなでごはんを作って食べたり、
よく名前のつかない遊びがしょっちゅうはじまり、たくさん話し、動き、けんかもし、、。
普通の学校で言えば休み時間がずっと続いているような、自分で決めて過ごすたっぷりの時間。
一日中楽しそうな声が、くまのびの校舎に響いています。
デモクラティック(民主的)と呼ぶのは、【子ども全員がスクールのことを決める議決権を平等に持って】運営しているからです。
日々のルールから運営まで、自分の意見が言えるし反映もされます。
「民主主義って、面倒なんだなー」と時にはぼやきながらも、それも味わいながら、子どもたちは成長しています。
フリースクールは、必要とする子どもたちのためであることはもちろん、社会全体にとっても意義がある
と思います。
環境の変化に適応して生物多様性があるように、社会にも多様性が出てくるのは必至です。
社会に大きな変化が次々と起こり、10年先の予想もつかないといわれはじめた時代、
いろいろな発想やものの見方をもつ人間がいることが、その社会全体の柔軟さや強さに貢献するはずです。
公教育以外を選ぶ子どもたちが、その個性を育てて社会に出るためには、それを大事にできる学校が必要です。
2015年の文科省調べでは、フリースクールの参加費は平均月3万円以上、中には月10万円という学校もあります。
公立の学校に通うことは、国が無償で保証してくれます。
ところが、一歩その外に出てしまうと、「自己責任」で、月3万円が当たりまえの世界。
保護者からそれだけいただいても、多くのフリースクールが楽ではない運営をぎりぎりのところで頑張っていると思います。
とはいえ、毎月子どもに一人3万円出せる家庭の子どもだけが、フリースクールを必要とするわけではありません。
くまのびはそんな中で、【子ども一人年間1万2千円、つまり月1000円の参加費】で運営しています。
多様な教育はそれを求める子どもにも社会にも必要なもの。
経済的に余裕のある人だけでなく、必要とするすべての人が機会を得られるものであってほしいと
考えているからです。
くまのびのスタッフは、スクールを立ち上げた女性一人です。
くまのびの前の田畑を夫婦で耕し、
小麦を育てて粉にひいて週に一度パンを作って売り、
集落内で小さな民泊を営んでいます。
生活がすべてくまのび周辺でまかなえて時間も調整できたので、無給でくまのびのスタッフをしています。
子どもたちとともに、保護者の理解と協力に支えられてのスタッフ一人体制ですが、
そのままでは、そのスタッフになにかあったら存続が難しくなります。
立ち上げの次のステップに向かう必要があります。
しかし、なかなか簡単ではありません。
”好きで始めた立ち上げスタッフと同じ、無給待遇でスタッフを募集なんて、
ブラックすぎるよね、、”
”寄付に頼るわけにはいかない、まず自立しなくては。”
”ものを作って売る?でも、やりたい人はいないかも、、、”
そんなことが頭の中で堂々巡りしていたある日、
立ち上げスタッフが出会った言葉が転機をもたらしました。
『一緒に社会を変えていく仲間になってください。』
さまざまな困窮者と生きるNPOの代表が、大きなプロジェクトの寄付を呼びかける声でした。
「寄付は社会に必要です。寄付は社会参加の原点です。一緒にこのまちを作る、仲間になってください」
その声には力みもへりくだりもなく、凛としていました。
急に視界が晴れた気がしました。
なぜ、自力でなんとかしなくてはと思っていたのだろう。
国が助成しないフリースクールだからしかたない?
それって、フリースクールの高い参加費を親が払うのはしかたない、という考えと変わらない。
自分たちもがんばるから、
勇気を出して、呼びかけてみよう。
『一緒に社会を変えていく仲間になってください。
くまのびのようなフリースクールは、これからの社会に必要です。』