誰もが当たり前に“学ぶ気持ち”を得られる地域社会を目指して、様々な人との関わりが得られる地域の学び場づくりに取り組んでいます。
「やりたいこと」を見つけるための「居場所」と「出会い」を共に創る。
人がやりたいことを見つけるためには、
やりたいことを見つけられていない今の自分でも居ていい「居場所」が必要です。
その居場所で、色んな価値観に「出会う」ことで、自分の可能性を知ることができ、「やりたいこと」を見つけることができます。
私たちは神戸市中央区で、子ども、若者、大学生、外国人、その他地域に住む人たちが、
それぞれの居場所を手に入れ、互いに関わり学び合えるコミュニティを創っています。
まなびとが活動している神戸市中央区は、人口150万人の神戸市の中でも、市役所や県庁が位置し、各電車、バスの三宮駅を中心に繁華街の広がるエリアです。
また、その繁華街の周りには住宅街が広がっており、昼間人口30万人、夜間人口15万人のビジネスと生活が非常に近い距離に存在する地域となっています。
このようないわゆる都市部の子どもたちは、放課後の時間に子どもたちだけで公園で遊ぶことができず、
家の中で過ごしたり、習い事をして過ごしています。
そういった子どもたちはインターネットを通じて豊富な動画コンテンツに触れたり、多種多様な習い事に触れられるチャンスはあるのですが、
主体的に人と関わったり、人と何かを協働で作り上げる体験が乏しくなりがちです。
いざそういった体験を求めに公園に出ても、周りの子たちは家にいたり習い事に行っていたりで、結局一人になってしまいます。
そんな環境の中で、子どもたちが自分たちの足で通えて、色んな人たちと関わることができる、子どもの居場所が求められています。
神戸市は、古くから世界とつながる港町として栄え、多くの外国人を受け入れてきました。
その流れは現在も続いていて、神戸市中央区では住民の10人に1人が外国人です。
住民以外にも、神戸にある大学や日本語学校、国際的な会社や研究機関、学校などもある中で中央区は多くの外国人が行きかう街になっています。
けれども、日本人でさえ個別化が進む日本社会で外国人は異言語、異文化の壁に阻まれ、なかなか地域の中に人のつながりを得ることが難しくなっています。
外国人にとって日本での生活の支えとなるのが「日本語」ですが、N1と言われる日本語検定試験の一番上のレベルに合格した外国人でさえ、日常会話には不安を感じることが良くあります。そういった不安を抱える外国人が、仕事を見つけ、周りとうまくコミュニケーションを取りながら日本で生きていくということは、大きな困難を伴います。
同じ日本に住む仲間として彼らを受け入れ、寄り添いながら彼らがやりたいことを形にしていく手段としての語学力と、
日本でチャレンジしたいことをサポートするような人と人との関係性が、今地域では求められています。
神戸市は、学生の街でもあります。22の大学・短期大学があり、約7万人の学生が集っています。
国内の政令指定都市のなかでも大学数は3位、市の人口のうち学生が占める割合も3位と、全国有数の大学都市です。
大学生は大学で、専門の学びを深めるとともに、自分自身がどう生きていくかを学ぼうとしています。
その学びを豊かにするためには、色んな人とコミュニケーションを取り、自分のこと、人のこと、社会のことを学ばなければなりません。
けれども、彼らが自由に発想し、行動することのできるフィールドは、まだまだ地域の中には少ないです。
特に、何かやりたいことが明確で積極的に自分の世界を広げられるような状態ではない、
どちらかというと自分に自信が持てず、何ができるのかが分からないけれど、これから社会にでなければならないという焦りを抱える大学生にとっては、
地域に出る時に、そんな彼らでも受け入れてもらえるような安心感のある場所が必要です。
「何かができる、誰かの役に立つから、その場にいていいのではなく、
自分がまだ何者でもなくて、何ができるかはわからないけれど、
自分なりに試行錯誤しながら、周りの人と影響を与え合って、
自分のできることややりたいことを広げたり、周りの人が求めていることに気づいていく。」
それは、子どもや外国人だけでなく、本当は誰にとっても必要なことだと信じています。
子どもや外国人が、人との関わりを必要としているということは、
彼らの周りにいる人たちもまた、彼らと関わる機会を持てていないということですよね。
さらには、大人同士だって、日本人同士だって、目の前の人と安心して関われる場所だってまだまだ少ないんです。
そんな中で、自分の力で居場所を得にくい人たちのために居場所や出会いを創っていくことは、
創ろうとする立場の人にとっても自分の可能性を広げていくことを繋がります。
そうやって少しずつ世界が広がっていくと、
今まで目の前にあった日常が実は多様性にあふれているということが見えてきます。
そして自分自身の中にある、多様な可能性にもっと気づくことができます。
一人一人のそういった変化を大切にしたいから、大きくしていきたいから、私たちはこの活動を続けていきたいと考えています。